トライアンギュレーション訓練(パート2)
前回に続きトライアンギュレーション訓練について更に説明しますが、ベンがトレーニング用に作成した書式とその使用例の香りの部分を紹介します。
トレーニングの書式
どの様にしてカッピングして確認した感覚属性や香味の記録を整理していくか、と言う問いに応えるのがベン作成の以下のフォームで、1セット毎に以下の様な表を使います。後に説明します記述例を加えて紹介します。
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カップ1
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カップ2
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カップ3
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コメント
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フラグランス
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クルミ、みかん
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クルミ、みかん
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Xー黒砂糖
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アロマ(及びクラスト崩壊時)
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クルミ、チョコレート
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チョコレート
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X?ーチョコレート、シナモン
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カップ(風味)
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チョコレート気味?、レモングラス
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X?ーチョコレート、レモン
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やや黒砂糖、レモングラス
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カップ2の酸味がやや強い?
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異なるカップ(Xで指定)
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X
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他より酸味が強いカップ
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X?
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他よりボディが強いカップ
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X?
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X
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他より甘みが強いカップ
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?
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?
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?
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特に違いが感じられなかった。
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コメント
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フラグランスでほぼ確実だった為の選択。
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この表の一列目には先ず評価する4つの時点(フラグランス、クラスト崩壊時を含むアロマ、カップ)が記され、二列目から四列目まではカップ1からカップ3となっていますが、そこに記録するそれぞれのカップに関する感覚属性をもとに他の2カップと違うと思われるものにXを記入します。
それらをまとめた結果が「異なるカップ」行で、4つの時点での評価を考慮し最終的にどのカップが違うのかを決定します。このまとめの行が必要な理由は以下に説明する例で判明する通り、それぞれの時点で違う評価結果(特定される相違カップが一致しない)が出ることがよくあり、最終的にどのカップにするかと言う判断が必要となるためです。 これはかなりの経験を積むまでは特に起こる事です。
上記の行以下に酸味、ボディ、甘みのそれぞれが強いカップを指定出来るようになっており、これもそれぞれの時点での評価の結果どれが当てはまるかを特定しますが、これも異なるカップを特定するのに使える情報となります。コメント欄には気がついた点や判断根拠の補足説明等を記入します。
フォームの利用例~香り~
実際のフォームの使い方を、記入された例を使って説明しますが、先ずは香り評価であるフラグランスとアロマの行から始めます。
カッピングテーブルに何セットかの3つのコーヒーカップが置かれカッピングが始まり、セット1のカップ1、カップ2、カップ3と、フラグランスを嗅ぎます。そこでカップ1とカップ2には同じ香りを感じ、それがクルミとみかんと確認し、カップ3には黒砂糖を感じたとします。フラグランスの行にはそれらの香りを記入し、カップ3だけに違う香りを感じたので、フラグランスによる評価においてはそのカップが違い、カップ3には香りで相違あるカップとしてXを記入します。
上記フラグランス行の記入は、香りの違いがはっきりしている為に違うカップの指定、記入も安易ですが、トライアンギュレーションではこの様にそれぞれのカップの香味をはっきりと特定できない事が多いものです。この1つの例が上のフォームのアロマ行ですが、カップ1にクルミ、カップ3にはシナモンが感じられたにしろ、全てのカップにチョコレートが感じられたことにより、どのカップが違うかは明らかになりません。
こういう場合は、後に相違カップの特定をする際の便宜を図って敢えて何れかのカップを指定するのがベストです。上のアロマの例の場合、シナモン臭を含んでいるカップ3が違うフラグランスであると言う結果も踏まえて、もしかしたらそれが違うカップなのではないか?、と言う論理をもとにした結論となっています。
フォームの利用例説明は次回風味と総計について続けます。