コーヒー産地直送!~Qグレーダーの中米便り~

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トライアンギュレーション訓練(パート3)

トライアンギュレーション訓練第三回目の今回はトレーニングの書式の風味以降部分使い方の説明を紹介します。

フォームの利用例~風味~

 
ご参考までに前回の書き込み例入りのトライアンギュレーションフォームを以下にコピーします。
 
 
カップ1
カップ2
カップ3
コメント
 フラグランス
クルミ、みかん
クルミ、みかん
Xー黒砂糖
 
 アロマ(及びクラスト崩壊時)
クルミ、チョコレート
チョコレート
X?ーチョコレート、シナモン
 
 カップ(風味)
チョコレート気味?、レモングラス
X?ーチョコレート、レモン
やや黒砂糖、レモングラス
カップ2の酸味がやや強い?
異なるカップ(Xで指定)
 
 
X
 
 他より酸味が強いカップ
 
X?
 
 
 他よりボディが強いカップ
 
X?
X
 
 他より甘みが強いカップ
特に違いが感じられなかった。
コメント
 
 
フラグランスでほぼ確実だった為の選択。
 
前回紹介したアロマまでは何の香りであるかと言う識別のみをもとに相違カップの特定がされましたが、カップの段階で評価できる風味には香りともう一つ、味という要素が加わります。と言うのも風味には香りに加えて、舌で感じられる塩味、甘み、苦味、酸味、うま味と言う五基本味を中心とした味覚が入ります。
こうして主要な感覚要素と言う評価ツールがもう1つ増える事によって、鑑定可能な範囲も広がります。 

上記例の場合、カップもアロマに似て感覚属性では相違カップの特定が難しいと言う結果がフォームに反映されています。その行のコメントによると、レモンが感じられるカップ2の酸味が、レモングラスと表現された他の2カップより強い為にカップ2が違うものだと特定された根拠が明らかになります。

フォームの利用例~総評と感覚属性~

以上、フラグランス、アロマ、カップの評価を経て、最終的にどれが違うカップなのかを指定しなければいけませんが、それぞれの評価をよく吟味して決定します。上の例の場合、フラグランスベースの答えは確実性の高いものであり、アロマとカップベースの回答はそうではないため、フラグランスの評価結果を中心に判断を下すのが賢明だと思われる為に総評結果でカップ3が違うものとなっています。

この例から分かる通り3つの時点での評価が異なることがしばしばあるため、あまり自信がない評価には?マークを付けたりして、それぞれの評価の確実性を記録する事は重要です。

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異なるカップ以下の三行(他より酸味、ボディ、甘みが強いカップ)については文字通りどのカップが当てはまるのか、カッピング結果から探し出して指定します。この評価は当然ながら異なるカップの検出に役立ち、酸味、ボディ、甘みと言う3つの大黒柱的な感覚属性の特徴付け能力改善を目的としたトレーニングとして、カッピング技量アップにも大きく寄与します。

上の例ではカップで感じた、あまり確実性が高くないカップ2の高めの酸味、またカップ1より高めのボディに感じられたカップ3と、より低い確実性だが同様にカップ1より高く感じられたカップ2のボディについても記録されています。

甘みについてはカップ間の違いがあまり感じられなかったので、最終評価には特に寄与しない結果となっています。最後にこれらの感覚属性の結果は無論ながら、フラグランス、アロマ、カップの結果と一致しなければいけません。

例えばカップ(風味)行で、確実性は低いにしろカップ2が一番高い酸味だとなっており、表のより下部に他より酸味が強いカップとしてカップ2が確認されているので表の上下の部分で一致した結果がされており、正しい記録例となっています。

 

最終回の次回は私のカッピング能力向上経験逸話について語ります。