スペシャルティコーヒー生産に不可欠なカッピング
カッピングとはなんぞ?
今日は。コーヒーのカッピングって聞いたことありますか?コーヒーの専門家でない限りあまり親しまれた用語ではないと思いますが、分かりやすく言えばコーヒーの鑑定です。
この鑑定には生豆や焙煎豆の色や形状なども含まれますが、要となるのはやはり香りと味です。その香味を捉えるには以下の四回の個別の時点で行います。
- 豆を挽きコーヒー粉となった状態。
- お湯を注ぎ、コーヒー粉が湿った状態。
- カップの表面に浮いたコーヒー粉の層(クラスト)を破る時。
- 液体コーヒーを口中に入れた時。
上記のタイミングで欠点の有無とスペシャルティーコーヒー(取り敢えずここでは高品質な香味のコーヒー)、或いはそれ以下であるかが下記の事項をもって鑑定されます。
- 香りや味の感覚属性(風味、余韻、酸味、コク、バランスなど)
- 香味の識別(何の様な香りや味がするか。例:レモン、いちご、チョコレート、ブルーベリー、土、シナモン、ラズベリー、お茶、煙などなど)
この様に、カッピングをすることによってコーヒーの良し悪しを判別できます。
真なるスペシャルティコーヒー専門家にとって不可避な技量
何故ブログ初回でカッピングの話が出るか?それはカッピングがスペシャルティコーヒー生産者にとって大黒柱的な重要性を持つからです。
と言うのも、幾ら栽培や精製に励んでも、結果として美味しいコーヒーが出せなければ、努力相応の報酬が期待できません。カッピング出来なければ頑張って育てたコーヒーが美味しいか、そうでないかが分かりませんからね。
ここでお気づきかも知れませんが、カッピングは生産側だけでなく消費市場で活躍されるプロにとっても重要、いや、必要不可欠な技量です。買う輸入業者、焙煎屋、バリスタの方々からしても良いコーヒーを調達していることを確認できなければいけませんから。
カッパー資格の世界標準:Qグレーダー
カッピングはこれだけ重要な作業なので勿論のことながら資格があり、その中でも世界でトップの資格にQグレーダーの名が付いているものがあります。さらに言えばQグレーダーは世界のコーヒーの資格として取得が一番難しいものとなっています。
詳細は次回以降説明しますが、QグレーダーはCQI(コーヒー品質機関)が管轄している研修および試験を通して取得可能な資格であり、2019年7月時点で世界に約6,000人、日本には約350人資格者が居ます。
この資格を得るには、3日間に渡って味覚と臭覚を試す数々の試験、及びコーヒー全般知識の筆記試験を含む、合計19のテストをクリアしなければいけません。その間に行うカッピングは合わせて約250カップである事を踏まえれば、そのシビアさをご理解頂けるかと思います。
Qグレーダー獲得までの道
この様に過酷な試験ではありますが、真剣にコーヒーを学ぶには絶好の機会と思った私は先日、テストとその前の三日間実施される研修コースを受けてきました。結果は幸いなことに合格したので、資格を取得する事自体にも無論意義があったのですが、その経験から得たものもとても大きいものだったと思います。
よってその大切な収穫を皆さんにシェアしたいと思い、初回の今回及びこれから幾つかの記事にかけて、Qグレーダー取得過程につき説明させて頂きます。取得トライの経緯から、その為の訓練、そして研修コースと試験を経て、取得するまでの道を、細かく綴っていきます。
比較的短期間の数日でしたが、私の人生でもそう簡単には忘れられない、アップダウンやスピード変化の激しい感情ローラーコースターに乗ったかの様な日々だったので、技術的な記述もありますがアドレナリンばりばりの興奮も少しでも皆さんに感じて頂ける事を願っています。