コーヒー産地直送!~Qグレーダーの中米便り~

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嗅覚訓練(5)

ルネデュカフェ訓練の続きをします。今回はこの訓練実施の際に注意すべき点と訓練形態の一つ目、総合テストについて綴ります。

嗅覚訓練で注意すべき「嗅ぎバテ」

嗅覚訓練の大まかな実施方法は前回紹介した通りですが支障なく訓練実施できるよう、第一段階で認識、記憶をする時に注意すべき点が幾つかあるので説明します。

一つ目は嗅ぎ過ぎです。これはトライアンギュレーション訓練の際にも言えることですが、味覚も嗅覚も続けて使い過ぎると疲れが出て知覚能力が低下していき、味や香りの区別が段々と出来なくなっていきます。要するに感覚が麻痺していくので、ある程度訓練をしたらその日の訓練を終える、もしくはある程度時間をおいて暫く休んでから訓練を再開する必要があります。

これは目安ですが、私がQグレーダー特訓を行った時は45分程嗅覚訓練したら最低1時間程休むサイクルを一日に最高3回程行っていました。これぐらいのペースで訓練をしたら「嗅ぎバテ」せずにコンスタントに週に何日もトレーニング出来ました。

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他の要配慮事項

もう一つ気を付けるべき事は、ルネデュカフェを使った嗅覚訓練がシビアなものであるという事を認識してのものですが、トライアンギュレーションを含むカッピング訓練を同セッションで行う場合には、嗅覚訓練を後に残すことです。もし嗅覚訓練を先にやってしまった場合は嗅ぎバテの為にトライアンギュレーションをやっても嗅覚が鈍くなっており、アロマだけでなく嗅覚によるところも大きい風味もよく感じ取れなくなる恐れが大いにあるの気をつけたいところです。

更に一点注意すべきは、香りによっては自分が知っている実物の香りとは必ずしも一致しない事があります。これには幾つか理由が挙げられますが、一つは例えばルネデュカフェが開発及び製造されているフランスのクルミが日本のクルミと違う種であるために香りも多少の違いがあることが考えられます。

また製造から暫く経つと香りが変質する事も考えられ、更に言えば以前述べた通りロットによって香りが変わるものもある事も実物と違う理由だと思われます。よって、ルネデュカフェリストにある物の実物ではなかう、キットの小瓶を使って訓練する事をお勧めします。

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ここからは基本訓練の第2段階目、嗅覚テストについて述べます。私が行った、名付けて総合テスト、分類別テスト、個人テストの3つの形態を紹介します。

総合テストとは?

ルネデュカフェ総合テストとは、36の香りの小瓶を全ていっぺんに目隠しテストする事を指します。その趣旨はシンプルで単にそれぞれの小瓶の香りを目隠しテストします。但しわざわざ本番の様に赤ライトの暗室の中で行うのは大変なので、実際に目隠しするか目を閉じて訓練のパートナーに小瓶を一つ一つ渡してもらい、キャップを外して香りを嗅いで感じた香りの名前を言います。パートナーは以下のフォームを使って正解、或いは不正解を記入していきます。

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このフォームの使い方ですが、例えばパートナーが10番のバニラを渡してもし相手が正しい答えを言ったらその行の二列目にチェックを記入します。逆にもし相手が間違えて例えば「キャラメル」と答えたらその空白に間違った答え、「キャラメル」と入れます。

このテストのやり方の基本形では夫々の小瓶を試すのは一度だけですが、間違えた香りの記憶を促進する目的の変形バージョンがあります。これは間違えた香りがあった場合にパートナーが相手に間違っている事を伝え、もう一度トライさせるのです。その場合には第一トライは間違った事を記録するためにバツ、或いは間違った香りの名前を記入します。 

この様にテストしフォームを埋めていくと自分が間違いやすい香り、またそれらの香りを夫々どの香りと混同するかが明確になります。この情報を使って訓練第1段階に戻り、それらの香りの認識と記憶、また他の類似した香りとの識別の努力をします。そしてまた総合テスト、或いは他のテストを用い再び能力試験をする、と言うサイクルを繰り返しながらアロマ感覚改善をしていく形となります。

 

次回は残りの二つのテストとこの方法を下にした私の嗅覚力改善経験について書きます。