コーヒー産地直送!~Qグレーダーの中米便り~

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嗅覚訓練(6)

今回は嗅覚訓練における残りのテスト手法である分類別テストと個人テストを紹介します。

類似した香り識別強化目的の分類別テスト

このテストは総合テストとは異なり一度に36の香り全てをトライするのではなく、分類ごとに行います。以下のフォームにその分類がありますが、これはQグレーダー本番テストと同じものです。

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これら分類に関してはコーヒーの栽培、精製、保管、焙煎と言ったプロセスのどの段階で生じた風味かによってグループ化されているものですが、詳細には後日説明するのでご参考までに以下にもう少しだけ言及します。 

  • 酵素化副産物:コーヒー豆が生体で農園で栽培されている時に起因する香り。
  • 汚損と欠陥:収穫後から焙煎前まで生豆である時に化学反応が起きて発生し、低濃度ではポジティブ、高濃度ではネガチブにとられるもの。
  • カラメル化した副産物:焙煎時のカラメル化と言うプロセスの間に生じる。
  • 乾蒸留副産物:これも焙煎時の一ステップで発生する香り。

尚、フォームにはトライ1、2、3とありますが、一度のセッションでそれぞれの小瓶を二回、或いは三回までランダムに訓練パートナーに目隠しテストしてもらいます。各セルへの記入方法は総合訓練と同じく、正解だったらチェックマーク、間違えたらその間違えた香りの名前を記入します。

この訓練は同じ段階で発生した風味がまとめられているので似通った風味もかなりあり識別の難易度が高いものですが、本番と同じグループ分けなので試験対策にはもってこいです。この様な訓練を経ると似たような風味を何度トライしても徐々にしっかり識別出来るようになっていきます。

個人テストで一人でもトレーニングを続けよう!

上記の二つのテスト方法ではパートナーと組んでのトレーニングですが、個人テストではその名の通り自分一人でトレーニングを行います。ここではどの様にして目隠しテストを自分で行うかその方法を紹介します。

この一番簡単な方法は目を閉じて小瓶を一つ一つランダムに取り出しキャップを取って香りを嗅いだらその香りの名前を特定し、目を開けて実際に自分の答えがあっていたかを確認するものです。但しこのやり方よりは幾つかいっぺんに香りを嗅いで特定し、それから答えの確認をした方が学習効果があり、トレーニングの効率も良いと思います。

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この様に自分だけで幾つかの小瓶の目隠しテストを行うには、先ずテストする小瓶をランダムに自分が目を開けた際に見えない様に置きます。この為には小瓶と自分の間に何か視線を妨げる物を置いて小瓶が見えないようにします。こうして次のステップでは目を閉じてランダムに小瓶を取り香りを嗅ぎ特定しますが、この手順で3つぐらいの小瓶の香りを特定し香りの名前とその嗅いだ順序を記憶します。香りを嗅いだ小瓶はこれもまた目を開けた際に見えない場所に、嗅いだ順に置きます。

そこで目を開けて嗅いだ順に記憶した香りを紙にメモし、また目を閉じて次の3つも同様に特定、記憶、順番通りの小瓶の配置、前の3つに続けて記録する、という手順を最後にテストする小瓶まで続けます。そうして最後まで記録したら、メモした小瓶の香りが目隠しして並べた小瓶と同じ順次であるかを確認する事でどれが正解の是非をチェックします。

私の場合、記憶力にあまり自信が無いので一度に3つずつしか嗅ぎませんが、もっと自信を持って覚えらる方は能力次第で増やせればより高いトレーニングの効率でテストを行えると思います。

 

以上、嗅覚訓練テストの説明でした。次回はこの訓練の結びとして私の嗅覚能力がどの様にして向上していったかを紹介します。