コーヒー産地直送!~Qグレーダーの中米便り~

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スペシャルティーコーヒーの品評会、カップ・オブ・エクセレンス(3)

COEがどれ程農家が受け取る値段を上げ、どの様に日本企業がそれをバックアップしているかについて今回は触れます。

COEの脅威的落札価格押し上げパワー!

COEで売られるコーヒーはどれだけの値段で売られるかと言うと、例えば歴代記録は2018年にコスタリカで一位の座に輝いたコーヒーが1ポンド約300米ドルで売られました。COE入賞豆全てを考慮すると中米のコーヒーの2019年入札結果平均は1ポンドあたり18.43米ドルです。

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国際価格の上下変動リスクを低減するCOE

ここで少し蛇足ですが、上記の例を見るとトップと入賞豆平均の値段にかなり差があります。これは2019年の中米COE結果を見てもそうですが、トップ3は約42米ドル、それ以下は12米ドルと、30米ドルの開きがあります。

これはどの分野でも言えますが、特に勝者そして次にトップ3への対価が大きく、それ以下の参加者に対してはその努力に対する認知の度合いは比較的低くなる事を反映していると思います。

それに対して同年9月までのニューヨーク市場のコーヒー国際価格の平均値は0.98米ドルで、国際コーヒー機関のデータによると中米の農家が一般に支払われる近年の値段も0.9米ドルから1.3米ドルの間です。これに比べると歴代記録豆は300倍以上、また2019年のCOE入賞豆全てを含めた平均でも約19倍の値段となり、大きな開きがある事が一目瞭然です。

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トップ3に入ると勝ち分が特に大きいCOE

国際価格と中米農家が支払われる価格データにはスペシャルティーではないレギュラーコーヒーも入っており、トップ以下の豆に対する認知度はトップと比較して下がるものの、COEのスペシャルティーコーヒーの価格を上げる貢献度が認識出来ると言えます。 

日本の買い手が落札価格高騰に貢献している

ところで実は日本をはじめとするアジア勢が入札で売られるコーヒーの買い手として占める割合が高く、特にこの落札価格上昇に貢献している分もかなりあります。

中米の過去のデータを検証するとトップの買い手として多くの日本企業の名前が上位を占めます。その中で特にワタル、極東ファディ、加藤珈琲、トーアコーヒー、UCC、田代珈琲、日本珈琲貿易といった名前が目立ちはするものの、その他にも多くの日本企業が見受けられます。

こう言った日本企業が毎年の様にCOEの上等のコーヒーを落札しており、毎年の様に落札価格記録の更新を後押ししています。

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日本の存在感が高いCOEオークション

では何故日本などのアジア勢が買い手の多くを占めているのかと言うと、恐らくそれらの国々を特徴づける学歴社会や資格社会と言った性質に反映される様に、COE大会のような競争で上位を勝ち得たものが良いものなのだろうと言う信頼を持つからだと思います。

このことは特にアジアからするとCOEが開催される中南米やアフリカの国々は欧米から見るより更に遠い世界であるために、こう言った国際ジャッジにバックアップされた品評会を特に頼りにするのだと思われます。

  

次回は更にCOEのスペシャルティーコーヒー産業への貢献の熟慮を続け、そのお陰でどう言うスペシャルティーコーヒー市場における好循環の構造が作動しているかを思い巡らします。