スペシャルティーコーヒーの品評会、カップ・オブ・エクセレンス(2)
COEの紹介を続けますが、今回は農家にとってCOEで入賞することがどれだけ大変であるかを、大会の運営行程と原則について説明しながらご理解頂きたいと思います。
とても入念な大会の運営行程
前回ご紹介したとおりCOEの主催は優良コーヒー同盟(ACE)と夫々の国のスペシャルティーコーヒー振興機関ですが、運営にはヘッドジャッジも加わります。言うまでもなく、ヘッドジャッジを始めCOEのどのジャッジも経験豊富な選りすぐられたカッパーばかりです。
これらのスーパーカッパーによる目隠し評価とスコア付けがされる事によって客観的、また透明度の高い品質の評価がなされます。加えて公平さと中立性を確保する為に第三者の企業が大会の諸段階における監査をする事によって、更に参加関連者にとって信頼度が高い大会となっています。
この大会では三週間に渡り何千カップがカッピングされますが、その行程は何段階かに別れており、農家がその収穫の最高のサンプルを提出するところから始まります。どの農家でも参加出来るオープンな大会となっており、300から900と言う超大量のサンプル豆が出品されます。
大会の三週間の工程は一週間ごとに別れており、一週目は予備選定を経て二週目は国レベル、そして三週目は国際レベルの週となっています。国レベル、国際レベルと言う名の所以は、一週目と二週目は開催国の地元のジャッジ、三週目は主に消費国籍の国際ジャッジが審査するためです。
この三週間のカッピングラウンドは合計6つあり、予備選定の週は一ラウンド、国レベルの週は二ラウンド、国際レベルでは三ラウンドあります。どのラウンドであっても重大な欠点豆があると即座に除外される程のシビアな品評会です。
COE賞受賞豆はとても厳しい選考行程をクリア
第一ラウンドとなる予備選定の一週目は出品された全てのコーヒーが地元のジャッジによって審査され、86点以上の評価を受けた豆のうち最高150のサンプルが二週目の国レベルの週に進みます。国レベルの週はまた開催国のジャッジによる審査ですが、第二ラウンド目でまた86点以上のもののうち最高90のサンプルが同じ国レベルの週の次のラウンドに進めます。
ここで興味深いのは次ラウンドへ進むための最低スコアが時を経て徐々に上げられた来ている事ですが、COEにおける入賞が段々と厳しくなっている事を反映しています。
国レベルの週の三ラウンド目のカッピングで再度最低86点を達したものの内、最高40のサンプルまでが次週である国際レベルの週に進みます。そして国際ジャッジによる第四ラウンドとなるカッピングの結果最低87点をクリアした、30までのサンプルが同じ週の次ラウンドへ通過します。
続いて第五ラウンドでは最終的にCOE賞が与えられ、オンライン入札に進むコーヒーが選ばれます。同じ週の最終日には第六ラウンドが実施され、前ラウンドのスコアのトップ10を再度カッピングし、最終スコアとランキングが決定されます。
COEはスペシャルティーコーヒー大会の世界基準
こうして最低五回カッピングされたCOE賞受賞豆の生産者は盛大な表彰式にてCOE賞を受け、90点以上のものには特別賞が与えられます。その後オンライン入札準備の一環としてCOE受賞豆は真空パックされたサンプルが世界中の買い手に送付されます。
国際レベルの約六週間後にオンライン入札されますが上位3つの豆は90点以上獲得した場合、入札の際に2つのロットに分けられます。言うまでもなく、オンライン入札で売られた豆は通常農家が受ける値段より断然高い値段で落札します。
この様にCOEは透明度が高く、客観的最優良品を多くのプロによる参加型のメカニズムで選びぬく行程を駆使しているため、スペシャルティーコーヒー豆の質を競い合う大会のベンチマークとなっています。
次回はこうして20年間開催されてきたCOE賞受賞豆がどれだけの高値で売られ、どの様に様々な参加者に利益を与えてきたかについて綴ります。